2014/03/20

サイコロ野球の得点期待値



こんにちは!確率論も割と好きなtknriaです!

以前、「サイコロ野球」をExcelマクロで実装しちゃった記事を書きました。

サイコロを振るということで、もちろん確率的に結果が決まるゲームです。


ということは、もちろん期待値も求めたくなっちゃいますよね!



■ サイコロ野球チームの得点期待値は?


まず、ルールをおさらいします!


(i) サイコロを2回振り、最初の目をA、次の目をBとします。

    A-B-1を計算し、これが1以上である場合のみ、その回の得点として追加します。

(ii) ここでサイコロを1回振り、その目が1か6だった場合は(i)に戻り、それ以外の場合はチェンジ。


これだけ。


まず、(i)を1回行うときの得点期待値を求めます。

これは、A,Bによって以下の表のように得点が変わるため、20/36=5/9と求まります。




次に、1イニングに得られる得点の期待値を求めます。


(ii)で、(i)に戻る確率は2/6=1/3で、逆に、(ii)でチェンジとなるのは2/3となるのはすぐわかります。


(i)→(ii)→チェンジとなるとき、得点期待値は5/9で、これが起こる確率は2/3です。

(i)→(ii)→(i)→(ii)→チェンジとなるときは、5/9を得点する可能性が2回あるので、
    得点期待値は2 * 5/9、こうなる確率は1/3 * 2/3です。

(i)→(ii)を3回繰り返してからチェンジとなるときは、得点期待値は3 * 5/9、確率は1/3 * 1/3 * 2/3。

(i)→(ii)を4回繰り返してからチェンジとなるときは、得点期待値は4 * 5/9、確率は(1/3)^3 * 2/3。
         (a^bはaのb乗という意味です)

ここまでくると法則が見えてきます。

一般化すると、n回繰り返してからチェンジとなるときは、得点期待値はn * 5/9、確率は(1/3)^(n-1) * 2/3ですね。


理論上は無限回繰り返すことも考えられるので、1イニングに得られる得点の期待値をEとすると、

\[ \begin{align*} E & = \sum_{n=1}^\infty \frac{5}{9}n \times \left( \frac{1}{3} \right)^{n-1} \times \frac{2}{3} \\ & = \frac{10}{27} \sum_{n=1}^\infty n \left( \frac{1}{3} \right)^{n-1} \\ \end{align*} \]
ここで、
\[ S=\sum_{n=1}^\infty n \left( \frac{1}{3} \right)^{n-1} \]
とおくと、
\[ \begin{alignat*}{3} S & = 1 \times \left( \frac{1}{3} \right)^{0} + & & 2 \times \left( \frac{1}{3} \right)^{1} + 3 \times \left( \frac{1}{3} \right)^{2} + \cdots \\ - ) \frac{1}{3}S & = & & 1 \times \left( \frac{1}{3} \right)^{1} + 2 \times \left( \frac{1}{3} \right)^{2} + \cdots \\ \hline \frac{2}{3}S & = \left( \frac{1}{3} \right)^{0}+ & & \left( \frac{1}{3} \right)^{1}+\left( \frac{1}{3} \right)^{2}+\cdots \\ \end{alignat*} \]
従って、
\[ S = \frac{3}{2} \lim_{n\to\infty} \frac{1-\left( \frac{1}{3} \right)^{n}}{1-\frac{1}{3}} = \frac{3}{2} \times \frac{1}{1-\frac{1}{3}} = \frac{9}{4} \]
E=10/27 * S なので、E=10/27 * 9/4

これを計算すると、1イニングに得られる得点期待値は5/6点と求められます。

これを9回繰り返したのが1試合なので、1試合の得点期待値は9 * 5/6=15/2=7.5点です。


ピッチャーとしては結構ひどい防御率ですねw



■ 実際にサイコロを振ってみる!


いや、さすがに何千回、何万回と振るのは大変なんで、Excel VBAの乱数を信じて、800試合くらいしてみました。



先攻チームの1試合当たりの平均得点は7.97点。
後攻チームは7.70点。

大体理論値通りですね。

800回くらいの試行で良いのかは検証していないので、何とも言えませんが。


先ほど理論値として求めた7.5点は、あくまでも、1試合9イニングと想定した値です。

実際には延長戦が含まれるため、少し高めになっているんでしょうか。


まあ大体合っているということで!



■ 億劫なあとがき


改めて思いましたけど、やっぱり数学ちょー好きです。

ホント誰得!?って感じの記事にお付き合いいただきありがとうございます。

ここまで読んで興奮している方とは非常に仲良くなれそうな気がします。